オールドノリタケと小町伝説
オールドノリタケに製品に、どくろのついた煙草入れがある。
花鳥風月をテーマにした製品が多い中、ちょっと特異な製品で
盛り上げのどくろにすすきがあしらわれている。
この煙草入れを見て思い浮かぶのが
「秋風のふくたびごとにあなめあなめ……」
そう、小野小町の伝説だ。
能の小野小町は「草紙洗小町」など小町の盛りの時期を取り上げたものの他に、
老残の小町をテーマにした「卒塔婆小町」が有名だが、
死後の小町を扱ったものを寡聞にして私は知らない。
謡曲「あなめ小町」のあらすじとは……。
昔々ある僧が、旅の途中すすき野原の中で
「あなめあなめ」(ああ目が痛い)と言う声がするので
声の主をたどっていって髑髏を見つけ、
その目から生えていたすすきを抜き取ってみると
それは才色兼備で名高かった小野小町の変わり果てた姿であったということだ。
この世の無常観漂う物語である。
「髑髏小町」伝説では小町終焉の地を訪ねるのが在原業平になっている。
業平が東国を放浪したとき、すすき野原で不思議な声を聞く。
「秋風の吹くにつけてもあなめあなめ」というその声の主を探してみると
荒野にどくろがひとつ転がっていて、目の穴にすすきが一本生えていた。
土地の人に聞いたところ小町がここで死んだらしいと知った業平は嘆き悲しみ、
次の下の句を付け加えた。
「小野とはいはじすすき生ひけり」
輸出用の煙草入れに日本の伝説のテーマをあしらうあたり、
先人たちの教養と日本文化を思う気概が伝わってくる、
何とも味わい深い製品である。
(なお、実際の在庫がなかったのでVan Patten氏の著書から写真を転載しました) |