かえるが見たものは……
6月のカバーページでご紹介したオールドノリタケの蛙の灰皿は、
蛙が縁にちょこんと座っている。
あぐらをかき、前足を胸の前で組んで、妙に人間くさい恰好だ。
「蛙、池の縁で座禅を組むの図」!?
今日は、これを見て思い出した日本の昔話をひとつ。
≪かえるの京まいり≫
あるところに一匹のかえるが住んでいた。
かえるが住んでいるところはえらい田舎だったから、
かえるはいつも「ああ、京へ行ってみたい、
京はどんなところか見てみたい」と言い暮らしていたんだって。
ある日、かえるはついに決心して、
京に向かって旅立った。
野越え山越え長い長い旅をして、
ようやくあと山ひとつ下りれば京というところまで
たどり着いた。
かえるは待ちきれなくなり、
山のてっぺんで二本足で立って
京はどんなところか見ようとしたんだって。
ところが、かえるは自分の目が背中についているのを
すっかり忘れていたもんだから、
立ち上がって見た景色は
今まで旅してきたところとちっとも変わらん。
かえるはぷりぷりして、
「京、京というけれど何のことはない、
今まで自分が住んでいた田舎とちょっとも変わらん」と言いながら
もと来た道をさっさと帰りましたとさ。 |